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コラム

クラレオン ビビティClareon® Vivity®・クラレオン ビビティ乱視

2025.05.27

クラレオン ビビティClareon® Vivity®・クラレオン ビビティ乱視
Column

新しい世代の眼内レンズ(IOL)

Clareon® Vivity®は、白内障手術で使用されるアルコン社の最新型眼内レンズです。
従来の単焦点レンズに比べ、遠くから中間距離までを自然に見やすくする設計が特徴です。

特徴

● 遠くも中間もスムーズに
 単焦点レンズと同等の遠方視力に加え、日常生活に必要な中間距離(約50 cm)も見やすく設計されています。

● 自然な見え方を追求
 独自の「波面制御テクノロジー」により、光を分けずに焦点をゆるやかに伸ばす構造。
 そのため、夜間のハローやグレア(光のにじみ)を抑え、自然で快適な見え方を目指します。

● 透明で安定した素材
 アルコン社独自の“Clareon素材”を採用。光の散乱や濁りを抑え、長期間にわたりクリアな視界を保ちます。

遠方も中間距離も見やすい

遠方も中間距離も見やすい

一般的な単焦点レンズと同等の遠方視力に加え、スマートフォンやモニターを見る約50〜70 cmの距離も快適に見られることが報告されています。40cmでも小さな文字を除くと、日常では自然に物を見ることができます。

ハローやグレアという光の異常光視現象が非常に少ない

ハローやグレアという光の異常光視現象が非常に少ない

クラレオン ビビティ(Clareon Vivity)には、従来の多焦点眼内レンズの光を振り分けてそれぞれの距離にピントを合わす構造ではなく、波面制御型の構造が採用されています。そのため、回折型の多焦点眼内レンズの特有のデメリットであったハロー・グレア・スターバーストなどの合併症がほとんど生じません。

波面制御テクノロジー(X-WAVE™テクノロジー)とは

波面制御テクノロジー(X-WAVE™テクノロジー)とは

👁️‍🗨️ 見た目は単焦点、見え方は次世代
クラレオン ビビティ(Clareon® Vivity® )の波面制御テクノロジーは、肉眼では見えないほど精密な構造を持ち、単焦点レンズと見た目ではほとんど違いがありません。それでも、レンズ内部では光を巧みにコントロールする唯一のメカニズムが働いています。

✓ 波面制御領域 #1

約 1 μm のごく僅かな隆起が、光の進行をわずかに遅らせ、波面を引き伸ばして連続的に拡張された焦点を作り出します。これにより、遠方から中間距離まで自然に見える焦点深度が得られます。

✓ 波面制御領域 #2

中央から 約 2.2 mm の範囲では、レンズの曲率をほんの僅かに変化させ、波面をシフトすることですべての光エネルギーをより有効に活用します。そのため、明るくコントラストの高い視界を実現します。

適応範囲の広さ

従来の回折型多焦点眼内レンズは、光を複数の焦点に分配する仕組みのため、網膜疾患や緑内障などをお持ちの方では十分な視力改善が得られない場合がありました。

一方、Clareon® Vivity®(クラレオン ビビティ)は光の分配ではなく「波面制御」により焦点深度を拡張する構造を持つため、他の目の病気をお持ちの方でも慎重に評価を行ったうえで、適応可能となるケースが見られます。

もちろん、全ての方に適応できるわけではありません。手術前には、網膜や視神経の状態を詳細に検査し、手術後に期待できる見え方を医師と十分に相談することが大切です。

クラレオン ビビティ(Clareon® Vivity®)の安定性

クラレオン ビビティ(Clareon® Vivity®)の安定性

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、その代わりに「眼内レンズ(IOL)」を挿入します。この眼内レンズが眼の中でどれだけ安定して位置を保てるか、また変形やズレが起きないかは、手術後の見え方に大きく関係します。

クラレオン ビビティに使用されている素材「Clareon®」は、最新世代のアクリル素材で、
・高い透明性(時間が経っても濁りにくい)
・屈折の安定性(手術後に度数が変わりにくい)
が臨床的に報告されています。

このため、長期的にもクリアで安定した見え方を維持できる点が大きな特徴です。

乱視用モデルでも優れた安定性

乱視を矯正するタイプのレンズ(Toricモデル)では、レンズが術後にわずかでも回転すると、乱視の矯正効果が低下します。
一般的に、1°ずれると乱視矯正力が約3.3%低下するといわれています。

しかし、Clareon® Vivity® Toric(クラレオン ビビティ 乱視用)は、レンズの固定性と摩擦力を高めた設計により、術後のずれ(回旋)がほとんどないことが報告されています。これにより、術後の乱視矯正効果が長期間安定して保たれると期待されています。

Clareon® Vivity®(クラレオン ビビティ)をおすすめする方

●夜間の運転が多い方

従来の多焦点眼内レンズでは、ハロー・グレア(光のにじみやまぶしさ)によって夜間の運転が難しくなることがありました。そのため、夜間運転をされる方には単焦点レンズが選ばれることが多かったのですが、単焦点では遠く(道路)と中間距離(メーターやナビ)を同時に見やすくすることが難しいという課題がありました。Clareon® Vivity®(クラレオン ビビティ)は、ハロー・グレアが単焦点レンズと同程度まで軽減されており、さらに「遠方」から「中間距離」までスムーズに見える設計のため、夜間運転が多い方やタクシー・トラックドライバーの方にもおすすめです。

●ゴルフなどのスポーツをされる方

Clareon® Vivity®(クラレオン ビビティ)は、中間距離から遠方まで自然に連続して見えるという特性があります。たとえばゴルフでは、ショットの際にボールを確認する中間距離から、打球の行方を追う遠方距離までが重要です。このように距離の変化が大きいスポーツを楽しまれる方にとって、Clareon® Vivity®(クラレオン ビビティ)は非常に相性の良いレンズです。

Clareon® Vivity®(クラレオン ビビティ)をおすすめしない方

●老眼鏡をまったく使いたくない方

Clareon® Vivity®(クラレオン ビビティ)の近方視は「実用的近方(およそ60〜50cm)」が中心です。40cm以下の距離(新聞やスマートフォンなどの手元作業)では、老眼鏡が必要になることがあります。そのため、「読書や細かい手元作業もすべて裸眼で見たい」という方には向いていません。

●強度近視の方(−6.00Dを超える近視)

強度近視の方は、もともと手元の見え方に慣れていることが多いため、Clareon® Vivity®(クラレオン ビビティ)では手元の見え方がやや低下して物足りなく感じる場合があります。特に、40cm以下の距離での視力低下を強く感じやすいため、強度近視の方には他の選択肢(多焦点または単焦点+老眼鏡)をおすすめします。