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コラム

テクニスオデッセイ (TECNIS Odyssey)・テクニスオデッセイ乱視の取り扱いを始めました。

2025.05.27

テクニスオデッセイ (TECNIS Odyssey)・テクニスオデッセイ乱視の取り扱いを始めました。
Column

テクニスオデッセイ (TECNIS Odyssey)は現在同社が販売する連続焦点レンズであるテクニスシナジーの後継に当たります。

夜間光視症(ハロー・グレア・スターバースト)を軽減

夜間光視症(ハロー・グレア・スターバースト)を軽減

■ テクニスオデッセイの特徴(ハロー・グレアの抑制)

「テクニスオデッセイ(TECNIS Odyssey)」は、従来の多焦点眼内レンズである「テクニスシナジー(TECNIS Synergy)」と比べて、夜間視における光学的な快適性が向上した点が大きな特徴です。
設計段階でハロー(光の輪)やグレア(まぶしさ)を抑制する光学構造が採用されており、夜間の車のライトや街灯など、強い光源を見た際のにじみが少なく、より自然でくっきりとした見え方を実現します。

■ ハロー現象とは

白内障手術後、夜間など暗い環境で光を見ると、その周囲に光の輪がかかって見えることがあります。これを「ハロー現象」と呼びます。
多焦点レンズ特有の光の回折構造により発生しやすい現象ですが、「テクニスオデッセイ」では光エネルギーの分配と回折パターンを最適化することで、ハローの発生頻度と強度を低減しています。

■ 夜間光視症の軽減

「テクニスオデッセイ」は、ハローだけでなく、夜間光視症のリスクを軽減するよう設計されています。
夜間光視症とは、以下のような症状の総称です:

光が目に刺さるような不快なまぶしさ(グレア)

光が放射状に広がって見えるスターバースト

光源の周囲がぼやける、にじむ感覚

臨床報告では、「テクニスオデッセイ」はこれらの現象の発生率がテクニスシナジーより低いとされています。
そのため、夜間運転や薄暗い場所での視認性も高く、より自然な見え方が期待できます。

昼夜を問わずはっきり見える

昼夜を問わずはっきり見える

■ テクニスオデッセイの光学性能 ― 色収差とコントラストの最適化

「テクニスオデッセイ(TECNIS Odyssey)」は、光学設計の高度な補正技術により、眼全体の色収差と球面収差をともに低減することに成功した多焦点眼内レンズです。
その結果、昼夜を問わず、より明瞭でシャープな見え方を実現しています。

■ 色収差とは

色収差(chromatic aberration)とは、光の波長ごとの屈折率の違いによって、赤・青・緑といった異なる色の光が網膜上の異なる位置に焦点を結ぶ現象です。
このズレが原因で、コントラストの低下や、細部がわずかににじんで見えることがあります。

「テクニスオデッセイ」では、光の波長依存性を考慮した回折構造設計を採用しており、波長ごとの焦点ずれを最小限に抑えることで、にじみのない、鮮明な像形成を可能にしています。

■ 球面収差の補正とその効果

さらに、眼球光学系における**球面収差(spherical aberration)**をほぼゼロにまで低減することで、網膜上に届く光の収束を最適化。
その結果、コントラスト感度が向上し、色彩もより自然で深みのある見え方を得られます。
特に、夜間や薄明環境でもクリアな視界を維持できる点が、オデッセイの大きな特徴です。

■ まとめ

色収差と球面収差をともに補正 → にじみの少ないシャープな見え方

高コントラスト・高解像度の視界を提供

昼夜問わず、自然で快適な色彩感覚を維持

残余屈折に対する高い耐性

残余屈折に対する高い耐性

■ 術後屈折誤差とは

術後屈折誤差とは、白内障手術や屈折矯正手術において、手術前に計画した焦点位置(ピント)と、実際に術後得られた焦点位置に差が生じる現象を指します。
このズレは主に、角膜形状の微妙な個人差や、眼軸長(目の長さ)の測定誤差、創口の影響などによって発生することがあります。

通常は大きな誤差が生じることは稀ですが、多焦点眼内レンズでは裸眼での見え方が治療目的の中心となるため、わずかな誤差であっても視機能に影響を及ぼすことがあります。

■ テクニスオデッセイの優位性

「テクニスオデッセイ(TECNIS Odyssey)」は、焦点深度が広く、広範囲でピントが合う設計を採用しています。
これにより、術後にわずかな屈折誤差が生じた場合でも、

焦点のズレを感じにくく、

見え方の質が保たれやすく、

安定した裸眼視力を得やすい、

という特徴があります。

遠方から近方まで連続的範囲で視力を維持

遠方から近方まで連続的範囲で視力を維持

■ テクニスオデッセイの設計と光学特性

「テクニスオデッセイ(TECNIS Odyssey)」は、「テクニスシナジー(TECNIS Synergy)」と同様に回折型(diffractive)設計による連続焦点型の多焦点眼内レンズです。
この構造により、遠方から中間、そして近方までの広い距離範囲で滑らかにピントが合うことが特長です。
いわゆる「ステップのない連続的な焦点移行」が得られるため、焦点切り替えの違和感が少なく、自然な見え方を実現します。

■ 焦点深度と視力曲線

テクニスオデッセイの焦点深度特性(defocus curve)は、他社の代表的な3焦点レンズと比較しても非常に優れた結果が報告されています。
特に中間距離(約60〜80 cm)での視力が良好であり、日常生活における快適性(パソコン作業、会話距離など)は高い水準にあります。
このため、遠方・中間重視の設計として、生活全般の視機能バランスを最適化したレンズといえます。

■ テクニスシナジーとの違い

「テクニスオデッセイ」は、「シナジー」と同様の基本光学原理を持ちながらも、レンズ表面設計がより滑らかに改良されています。
この滑らかな回折構造により、

ハロー・グレアの発生を抑え、

コントラスト感度を高める

といったメリットが得られる一方で、
近方(30〜40 cm程度)の焦点範囲では、シナジーに比べて若干ピントが合いにくい傾向があります。

優れた乱視矯正

優れた乱視矯正

■ テクニス トリック Ⅱの安定性と改良点

「テクニス トリック Ⅱ」は、乱視矯正レンズとしての信頼性を高めるために、

レンズ素材の表面摩擦力を向上させ、眼内での動きを抑制

独自の接触面設計により、術後の回旋を5°以下にコントロール可能

という優れた安定性を実現しています。
このため、術後に位置補正が必要となるリスクが大幅に低減し、矯正効果を長期的に維持できる点が大きな利点です。結果として、安定した乱視矯正効果と良好な裸眼視力が得られます。

費用

費用

テクニスオデッセイ(TECNIS Odyssey)は選定療養対象(保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる制度)の眼内レンズとなります。
■ 上記片眼の費用になります。
■ 上記費用に加えて手術費用(保険診療分)が別途かかります。