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コラム

クラレオン パンオプティクス(Clareon® PanOptix®)クラレオン パンオプティクス乱視

2025.10.17

Column

Clareon® PanOptix®(クラレオン パンオプティクス)は、米国Alcon(アルコン)社が開発した回折型三焦点眼内レンズです。2019年に日本国内で初めて厚生労働省の承認を受け、2020年から開始された「選定療養(先進医療と保険診療の併用制度)」において、2023年まで唯一の三焦点眼内レンズとして用いられてきました。

3焦点眼内レンズとは

3焦点眼内レンズとは

2007年に日本で最初の「2焦点眼内レンズ(遠方・近方)」が承認されましたが、中間距離(50〜70cm)の見え方に妥協が必要でした。そこで開発されたのが「3焦点眼内レンズ」です。3焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方の3つの焦点距離をカバーし、日常生活のほとんどを裸眼で快適に過ごせるようになりました。Clareon® PanOptix®(クラレオン パンオプティクス)は、米国Alcon(アルコン)社が開発した回折型三焦点眼内レンズです。2019年に日本国内で初めて厚生労働省の承認を受け、2020年から開始された「選定療養(先進医療と保険診療の併用制度)」において、2023年まで唯一の三焦点眼内レンズとして用いられてきました。

世界で最も信頼される三焦点眼内レンズの一つ

Clareon®PanOptix®(クラレオン パンオプティクス)は、世界各国で最も広く採用されている三焦点眼内レンズです。(2025年初頭までにClareon®PanOptix IOLの全世界累計移植数は300万眼以上と報告)その豊富な臨床実績と長期的な追跡データにより、安定した視力成果と高い患者満足度が報告されています。これらの臨床的エビデンスに裏づけられた信頼性により、現在も多焦点眼内レンズのスタンダードモデルとして位置づけられています。

クラレオン パンオプティクス(Clareon®PanOptix®)は特許技術であるENLIGHTEN® テクノロジーを採用

クラレオン パンオプティクス(Clareon®PanOptix®)は特許技術であるENLIGHTEN® テクノロジーを採用

光学原理のポイント: クラレオン パンオプティクス(Clareon®PanOptix®)に搭載されたENLIGHTEN®光学系は、一見「三焦点」ですが、実際には回折による4つ目の焦点が生じます。通常、三焦点IOLは遠方と2つの加算度(例: +2.17Dと+3.25Dなど)で設計されますが、これにより1.2m付近にも不要な焦点が生じることがあります。ENLIGHTEN®ではこの不要な約1.2mの焦点を意図的に機能させず(=4焦点を3焦点に制御)、その光エネルギーを遠方焦点に再配分する仕組みになっています。結果として遠方の光利用率が高まり、中間・近方への配分とのバランスが最適化されます。さらに、中間距離の焦点距離を従来の約80cmから約60cmに近づけているのも特徴です。80cmは日常生活では“中途半端”で使いづらい距離(いわばノーマンズランド)でしたが、60cmへの最適化によりパソコン作業や手元作業にちょうど良い焦点となりました。

薄暗い環境でも、より快適に

薄暗い環境でも、より快適に

クラレオン パンオプティクス(Clareon®PanOptix®)のENLIGHTEN®光学系は非アポダイズ型(瞳孔径によって回折効果を弱めない設計)です。従来のAlcon社製ReSTOR®多焦点レンズなどは周辺部の回折階段を緩やかに小さくする「アポダイズド回折構造」を採用し、暗所で瞳孔が開いた際に遠方重視となるよう調整していました。しかしENLIGHTEN®では全直径4.5mmまで均一な回折ゾーンを配置することで、瞳孔径による性能変動を低減しています。中心部4.5mmに15の同心回折リングを持ち、外周は単焦点(屈折光学)部です。この設計により暗所などで瞳孔が大きくなっても遠・中・近の各焦点が機能し、大きな瞳孔径でも良好な視力を維持できます。

クラレオン パンオプティクス(Clareon®PanOptix®)の安定性

クラレオン パンオプティクス(Clareon®PanOptix®)の安定性

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、その代わりに「眼内レンズ(IOL)」を挿入します。この眼内レンズが眼の中でどれだけ安定して位置を保てるか、また変形やズレが起きないかは、手術後の見え方に大きく関係します。

クラレオン パンオプティクス(Clareon®PanOptix®)に使用されている素材「Clareon®」は、最新世代のアクリル素材で、
・高い透明性(時間が経っても濁りにくい)
・屈折の安定性(手術後に度数が変わりにくい)
が臨床的に報告されています。
このため、長期的にもクリアで安定した見え方を維持できる点が大きな特徴です。

一般的に、眼内レンズのエッジ部分で光が反射すると、夜間のライトなどがにじんで見える「エッジグレア」が生じることがありますが、Clareon®では、精密なスクエアエッジ構造と光学的な散乱抑制設計により、この現象を最小限に抑え、より自然で快適な見え方を追求しています。
また、Clareon®は、レンズの構造と素材の工夫により、術後に生じやすい「後発白内障(PCO)」の原因となる細胞増殖を抑え、再手術(YAGレーザー治療)の必要性を減らしながら、長期にわたってクリアな見え方を保ちます。

まとめ

・近く〜中間が得意で、読書・料理・スマートフォンなどの日常動作に最適
・ハロー・グレアが少なく、夜間でも安定した見え方
・世界的に実績の多い三焦点レンズで、信頼性が高い
・ENLIGHTEN®光学テクノロジーにより、光のムダを減らし自然な見え方を実現

費用

費用

クラレオン パンオプティクス(Clareon®PanOptix®)は選定療養対象(保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる制度)の眼内レンズとなります。
■ 上記片眼の費用になります。
■ 上記費用に加えて手術費用(保険診療分)が別途かかります。