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5焦点眼内レンズ「Intensity(インテンシティ)」
2026.01.30
従来の多焦点眼内レンズでは、遠くはよく見えるが中間が弱い、手元は見えるが距離によって見え方が不安定といった「距離ごとのムラ」が課題になることがありました。
インテンシティ(Intensity)は、2019年にヨーロッパで安全基準をクリアして「CEマーク」を取得し、日本では2020年9月より「自由診療」の枠で取り扱いが開始となった新しい眼内レンズとなります。Intensity(インテンシティ) は、遠く・中間・近くまでを、よりなだらかにつなぐことを目指した多焦点眼内レンズです。これによって白内障手術後の「より良い見え方の追求」を目的として眼内レンズの開発が進み、2019年には世界初の「5焦点眼内レンズ」が登場しています。
当院でも5焦点眼内レンズのINTENSITY(インテンシティ)を取り扱い、患者さまのライフスタイルに合わせてご提案を行っています。
この記事ではインテンシティを従来の眼内レンズと比較しながら、メリット・デメリットについて解説します。
スペック
スペック
焦点タイプ:回折型5焦点(DLUテクノロジー)
焦点距離:遠方、遠中(133㎝)、中間(80㎝)近中(60㎝)近方(40cm) 光ロス6.5%
素材:疎水性アクリル
生産国:イスラエル(Hanita Lenses社)
ハロー・グレア:少なめ
選定療養対象:×
乱視:あり
① 遠くから手元まで、なだらかな見え方
従来の多焦点眼内レンズ(3焦点)では、主に
遠方
中間(約80cm)
近方(約40cm)
の3つの距離に対応していました。
INTENSITY(インテンシティー)はこれに加えて、
遠中(遠方と中間の間:約133cm)
近中(中間と近方の間:約60cm)
という2つの補助的な焦点(ライトインテンシファイア)を設けています。合計5つの距離にピントが合いやすい設計のため、
従来の多焦点眼内レンズで生じやすかった
「遠方〜中間」「中間〜近方」の見え方の落差を抑えることができます。
その結果、
距離によるムラが少なく、
なだらかで自然なピント移動が感じられる見え方をサポートします。
このような特長は、実際の治療成績においても確認されており、
見え方の質を大切にしたい方に配慮したレンズ設計です。
夜間・暗い場所でも良好な見え方
従来の多焦点眼内レンズでは、夜間や暗い場所で見えにくさを感じることがありました。
これは、暗くなると瞳孔(黒目)が大きくなり、光の配分がうまく働かなくなるためです。
INTENSITY(インテンシティー)は、瞳孔の大きさに合わせて光の使い方が変わる独自の光学設計「DLU(Dynamic Light Utilization)テクノロジー」を採用しています。
この設計により、明るい場所から暗い環境まで、光がバランスよく配分され、安定した視界が保たれやすいのが特長です。
また、レンズ表面はなめらかな形状で、回折リングの数を12本に抑えた3つのゾーン設計を採用。そのため、昼間はもちろん、夜間や薄暗い環境でも遠くが見えやすい視界が得られます。
光を効率よく活かすレンズ設計
INTENSITY(インテンシティー)は、従来3焦点レンズの焦点である遠方・中間・近方に加えて、遠中(約133cm)、近中(約60cm)という2つの補助的な焦点(ライトインテンシファイア)を備えています。この設計により、光のロスは約6.5%と非常に少なく、従来の2焦点・多焦点レンズ(光学ロス約10〜20%)と比べても、光を効率よく活かせるレンズとなっています。
光を無駄なく使えることで、くっきりとした視界(良好なコントラスト)が保たれやすく、距離の変化にも自然に対応できるのが特長です。
ハロー・グレアが少ない
INTENSITY(インテンシティー)は、回折リングの数を12本に抑え、表面もなめらかな設計となっています。
そのため、夜間に起こりやすいハロー(光のにじみ)やグレア(まぶしさ)が、他の多焦点眼内レンズと比べて少ないのが特長です。
暗い場所や夜の運転時でも、
光のにじみを感じにくく、安心しやすい見え方を目指しています。
INTENSITY(インテンシティー)の注意点・デメリット
INTENSITY(インテンシティーは、従来の多焦点眼内レンズと比べて多くの方にメリットを感じていただきやすいレンズですが、すべての方に完全に適しているわけではありません。
ご自身の目の状態や生活スタイルによっては、別のレンズが適している場合もあるため、デメリットも含めて総合的に判断することが大切です。
①強度近視の方は適応外となる場合があります
INTENSITY(インテンシティーは、矯正できる度数の範囲(パワーレンジ)が限られているため、強度近視(目安として −6.0D以上)の方では、レンズが適合しない場合があります。この場合は、他の眼内レンズの選択肢をご提案することがあります。
②40cm未満の近距離では見えにくさを感じることがあります
INTENSITY(インテンシティーは、他の多焦点眼内レンズと比べて近方の見え方の落ち込みが少ないという特長がありますが、40cmより近い距離では、見えにくさが出ることがあります。
そのため、
細かい文字を長時間読む
精密な手元作業が多い
といった生活スタイルの方には、必ずしも最適とは言えない場合があります。
③費用が高額になります(自由診療)
INTENSITY(インテンシティーは、健康保険が適用されない自由診療のレンズです。
そのため、他の多焦点眼内レンズと比べても費用が高くなる点は注意が必要です。
大切なのは「合うかどうか」
インテンシティーは、
✔ 夜間の見え方
✔ ピントのつながり
✔ 光を効率よく使う設計
といった点に魅力のあるレンズですが、
すべての方にとって最良とは限りません。
当院では、目の状態やご希望、生活スタイルを丁寧にうかがったうえで、本当に合ったレンズ選びをご提案しています。
インテンシティの費用
5焦点眼内レンズ「Intensity(インテンシティ)」は、保険外の治療で、自由診療となります。
種類 片眼の費用(税込)
乱視無 65万円
乱視有 70万円
*レンズ決定時に申込金として7万円を頂きます。
*個人輸入レンズは発注から納期まで1か月程度かかりますので余裕を持った手術予定日の決定が必要です。
この記事を書いた人
院長 大澤 彰
執筆者プロフィール
・日本眼科学会専門医
・障害者指定医
・難病指定医
・臨床研修指導医
・PDT療法認定医
・ボツリヌストキシン療法認定医
・水晶体嚢拡張リング(CTR)認定医