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コラム

乱視はICLでどこまで矯正できるのか?ー乱視用ICL(トーリックICL)の回転、ずれの確率や注意点など徹底解説

2025.12.26

乱視はICLでどこまで矯正できるのか?ー乱視用ICL(トーリックICL)の回転、ずれの確率や注意点など徹底解説
Column

はじめに|「視力は出るのに、はっきりしない」原因としての乱視

視力検査では1.0以上出ているのに、
文字がにじむ
夜間のライトが広がって見える
片目ずつだと見えるのに、両眼だと疲れる

このような症状の背景に、乱視が隠れていることは少なくありません。

ICLでの乱視矯正とは?基本情報を整理

「ICL手術で乱視も矯正できるのか」と疑問に感じている方は少なくありません。
本記事では、ICLがどのような治療法かを説明したうえで、乱視への対応、乱視の種類(正乱視・不正乱視)、適応の考え方、レーシックとの違い、手術の流れと注意点まで、検討前に知っておきたい基本情報を整理します。

乱視とは何か?なぜ「視力が出ても不満が残る」のか?

乱視とは何か?なぜ「視力が出ても不満が残る」のか?

乱視とは、角膜や水晶体のカーブが完全な球面ではなく、方向によって屈折力が異なる状態です。
乱視には、大きく分けて**「正乱視」と「不正乱視」**の2種類があります。

正乱視は、もともとの角膜や水晶体の形によって起こる乱視です。
角膜や水晶体がラグビーボールのような形をしているため、光が1点に集まりにくくなります。

一方、不正乱視は、目のケガや病気などが原因で起こる乱視です。
角膜の表面に不規則な歪みや凹凸が生じることで、見え方が大きく乱れます。

ICL(眼内コンタクト)では不整乱視は矯正は難しいです。

ICL(眼内コンタクトレンズ)とは

ICL(眼内コンタクトレンズ)とは

ICL(眼内コンタクト)とは、目の中にやわらかい特殊レンズを挿入し、近視や乱視を矯正する視力回復手術です。角膜を削ることなく視力を改善できるため、「見え方の質」や「将来の安心感」を重視される方に選ばれています。

ICL(眼内コンタクト)乱視矯正の度数範囲と限界(目安)

ICL(眼内コンタクト)乱視矯正の度数範囲と限界(目安)

ICL(眼内コンタクト)の大きなメリットは、LASIKのように角膜を削らず、角膜に恒久的な変化を加えない治療である点です。そのため、角膜が薄い方や、角膜の形状がレーシックに適さない方でも、治療の選択肢となる可能性があります。
また、LASIKでは術後にドライアイが慢性化するリスクが指摘されることがありますが、ICLは角膜表面への影響が少ない点も特徴です。

ICL(眼内コンタクト)は、LASIKでは対応できない高度近視(−3D~−15D)や乱視(0.5D~4.5D)まで幅広く対応でき、矯正範囲が広いことも強みです。
さらに、レンズを「足す治療」であるため、将来的に取り外しや交換が可能で、視力変化や他の眼疾患にも柔軟に対応できます。

トーリックICL(乱視矯正眼内コンタクト)とは?

トーリックICL(乱視矯正眼内コンタクト)とは?

ICLには2つのタイプがあります
通常のICL:近視のピントを合わせる
乱視用ICL(トーリックICL):近視+乱視を同時に矯正
乱視がある方には、より精密な補正ができるトーリックICLを選択します。
トーリックICLには、乱視を打ち消すための方向性のあるカーブが入っています。
この働きにより、光の進み方が整い、像がくっきりと結ばれます。

なぜ「角度」が重要なのか

なぜ「角度」が重要なのか

トーリックICL(乱視用ICL)は、乱視の「軸(方向)」にぴったり合わせて挿入するレンズです。そのため、角度がわずかにズレるだけでも、見え方に影響が出ることがあります。

一般的に、
・1°の回転で約3%、乱視矯正効果が低下
・30°回転すると、理論上ほぼ効果が失われる
とされており、トーリックICLでは正しい角度で安定していることが非常に重要です。
このため、精密な検査と、正確にレンズを固定する高い技術が求められます。

垂直固定は、ICL(眼内コンタクト)が安定しやすい理由

垂直固定は、ICL(眼内コンタクト)が安定しやすい理由

当院では、乱視用ICLにおいてレンズが回転しにくい「垂直固定」を重視しています。その理由は、眼の中の構造にあります。眼の中でレンズを支える溝(STS距離)は、水平方向よりも垂直方向の方が平均で約0.3mm長いことが分かっています。
👉 この特徴を活かすことで、垂直方向にやや大きめのレンズを選択できる。レンズがしっかり支えられ、回転しにくく安定しやすいという利点があります.

データから見た「垂直固定」の安定性
実際の報告でも、角度の修正が必要だった症例は約3~4%程度。
そのうち約94%が水平方向固定です。
垂直固定では修正率が3%の約3%で0.09%と、非常に低いとされています。
つまり、
最初から回転しにくい固定方法を選ぶことが、安定した見え方につながるということです。

切開による“乱視の変化”

角膜は丸いドーム構造のため、どこを切るかによって乱視の出方が変わります。

ICL手術で作る約3mmの小さな切開でも、治癒の過程でごく軽度の乱視変化が起こることがあります。
ICLを受けられる若い方は、もともと上下方向の乱視(直乱視)が多い傾向があります。
一般的な横方向の切開では、この直乱視が少し強まることがあります。
👉 つまり、「どこを切り、どの角度にレンズを固定するか」この2つが乱視用ICLの完成度を決めるのです。

手術ガイドシステム「VERION(ベリオン)」とは

手術ガイドシステム「VERION(ベリオン)」とは

VERIONは、ICL手術を3つのステップで支える手術ガイドシステムです。

*計測:VERION アナライザー
VERIONアナライザーでは、角膜乱視,虹彩模様,角膜輪部,強膜血管といった、お一人おひとり異なる眼の特徴を詳細に測定します。
これらの情報は、いわば**「目の指紋」**のようなもので、手術中の位置認識やナビゲーションの基礎データとして活用されます。

*軸決め:手術計画(ビジョンプランナー)
専用の手術計画ソフト「ビジョンプランナー」を用いて、乱視用ICL(トーリック ICL)の正確な固定角度必要に応じた角膜または強角膜の切開位置・範囲などを、術前に細かく設計します。

作成した手術計画は、手術中に顕微鏡の術野へオーバーレイ表示として投影され、術前の設計をそのまま手術に反映できる仕組みです。

*GUIDE:手術中ガイド(デジタルマーカー)
 手術中は、顕微鏡とVERIONが連動し、切開位置、乱視用ICL(トーリック ICL)の軸、レンズの固定位置をリアルタイムで表示します。眼がわずかに動いた場合でも自動的に追尾されるため、医師は常に「正しい位置」を確認しながら手術を進めることができます。

術前の精密な計測から、手術中のリアルタイムガイドまでを一貫して行うことで、乱視用ICLを含むICL手術の精度と再現性を高めます。

ICLが回転・ズレてしまった場合

乱視用ICLのレンズは、万が一回転やズレが起こった場合でも、再手術によって修正することが可能です。

回転やズレが同一にずれるようならば、レンズの大きさや角度を入れ替えることも可能です。

再手術の保証期間なども含めてのクリニック選びが大切です。

当院の乱視ICL(トーリックICL)に対する取り組み

当院では、VERION(ベリオン)イメージガイドシステムを使用し、
手術中に目の状態を正確に確認しながら、「どの位置に切開を入れると乱視への影響が最も少ないか」をリアルタイムで確認しています。これにより

*あらかじめ計画した乱視データと実際の目の位置ズレを補正し、
一人ひとりにとって最適な切開位置を選択したうえで手術
*乱視用ICL(トーリックICL)の1度単位の正確な軸合わせ
*できるだけ安定しやすいサイズ・配置の乱視ICLを厳選して発注
*乱視軸を可能な限り垂直固定できる設計を重視

といった対策を徹底し、回転リスクを最小限に抑える工夫を行っています。また万一ずれた場合に保証制度として乱視用ICLの軸ずれが生じた場合に備え、3年間の無償乱視軸合わせ手術保証を設けています。

なお、実際に再手術が必要となるケースは
乱視用ICL全体の約0.1%程度と非常にまれですが、
できる限り再手術を避けるため、
術前・術中・術後すべての段階で細やかな対策を行っています。